7月某日、池袋。
俺と友人は池袋へ繰り出し、買い物をした後、暇を持て余していた。
私たち神々は夕刻にお店を予約してあるのでそれまで2時間ほどある。
そこで池袋駅の近くの路上で手相占いをやっているのを思い出し、暇だし行ってみようと提案した。
友人も話のネタになるからいいよー。って乗ってくれて行ってみた。
料金は一人2000円、ちっさいスキンヘッドのおっさんが路上でやっているのでいかにも胡散臭いが、なんせ私たちは暇を持て余した神々だ。
ここで誰かが「おーす! みらいの チャンピオン! ここの うらないは うさんくさくて ゆうめいだ! かねを まきあげ られる から きをつけろ!」と忠告してくれたら良かったのに。
私はサイフを取り出しお金を渡す。スキンヘッド、キミにきめた!
そしてスキンヘッドが言う。
「今日はどうしますか?」
・・・美容室にでも来たのかと思った。
「とりあえず結婚とかできそうですかね?」
そう聞くと肌色のミニオンは怪しげな虫眼鏡で見えないものを見ようとして私の手相を覗き込んだ。
「彼女とかいるの?」とミニオンが聞いてきた。
「いや、いないっすねー。」
何故だか私は負けた気がした。なぜならミニオンの指には輪っかがはまっていたからだ。
もうかれこれ6年はいない。今年で7年目を迎える。理系大学生の神々は本当に出会いがないのだ。この間、イケメンの友人にその話をしたら「今までなにやってきたの?」と言われた。出会いがなさ過ぎて出会い系サイトに登録して痛い目を見たポケモントレーナーも知っている。これ程、りかけいのだいがくせいは闇が深い。
大学生では黒いノートが空から落ちて死神と共闘し、新世界の神にでもなろうと思ったのにこのザマだ。
「30歳すぎに結婚できると思いますよ」
肌色のミニオンはそう答えた。
ミニオン「あとね、もっと積極的に出会いにいった方がいいよ?選り好みしないで、その人良いところ探して好きになればもっと良い結果を得られると思います。減点法だとすぐ限界が来ます。加点法でやると長続きしますよ」
私「ふ~ん。」
そんな簡単にゲットできると思ってるのかこのディグダグは。そんなに簡単だったら草むらで苦労しない。ボールがいくつあっても足らないんだ。まずはボールを投げるフォームから教えろ。日常的にゴールドスプレーを使用している俺を指摘しろ。と俺の心が叫びたがってるんだが、それは辛うじて押し殺した。
ミニオン「だいたい最近の若者はさ、ネットだのゲームだのして・・・」
私「!?」
このハゲーーーー!!!!!!ちがうだろーーーー!!!!!!なんなんだコイツは。いきなり若者に対しての愚痴が始まった。たった数分顔を合わせただけで俺の何が分かるんだ。コイツは神の逆鱗に触れたいらしい。ここはコンクリートジャングル、東京。私は喰種ではないけど、イライラして君の膵臓を食べてたい。
私「き、金運はどうですかね??」
ハゲ「金運は良いでしょうね。ただ、33歳くらいに大きな山があるのでそれを乗り越えると安心です。」
どこぞの万事屋の銀髪天然パーマよりはお金には困らなそうでよかった。後は隣に橋本環奈がいればサイコーだ。
私は来年、社会の荒波に身投げして、ひとつなぎの財宝、ワンピースを探す航海へ出るが、私の会社はブラックパール号よりは大きいのでひとまず安心だ。
しかし、友人の会社はホバークラフトのようにフットワークが軽い。
内定先を教えてもらったときに将来は起業して年収1000万になるわ。と言って「それが海賊暮らしさ。お分かり?」というような顔をしていたのは記憶に新しい。
後のミニオンとの会話は覚えてない。誰にでも当てはまるようなありきたりなことをべらべらぴーちくぱーちく話していたので書いてもつまらないと思うので書かない。あとめんどくさい。
あー、マスターボールが欲しい。